2019年6月3日発売の週刊少年ジャンプ27号、サムライ8 八丸伝【第4話】を読んだので、あらすじ・ネタバレ・感想をまとめました。
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前回まで【1~3話】のあらすじ
予告編のあらすじ
「流れ星にお願いをするとその願いが叶うって知ってるか早太郎!」
八丸の問い掛けにニャンニャンと鳴いてこたえる早太郎に、八丸は流れ星が流れてる間にお願い事を唱えないといけないから、欲張ってはいけないと早太郎に念押ししました。
それにもニャンニャンと答える早太郎に、八丸はアップグレードのお願いかと、犬らしくない早太郎の鳴き声に思いを馳せました。
すると、そんな二人の前にキラリと流れる星がひとつありました。
いざと構えた八丸は、流れる星目掛けて思いつく限りの願いを込めました。
おすしとスキヤキと天ぷらと、刺身としゃぶしゃぶと…
あと、うな重と…あと…タコ焼きとってのをいつか必ず食べられますように!
あ、あと!アレルギーが一つでも減りますように!
ついでにいくつもの流動食がおいしくなりますように!…あ!これこれ!
注射が平気になりますように!
杖無しで歩けるようになりますように!
視力が良くなりますように!
いつか宇宙旅行に行けますように!
そうして次々に思い描く八丸の夢と希望の末には、たった一つ……
サムライになるで手を打とうじゃねぇーか!!!
そんな思いがありました。
第1話 一つ目の鍵のあらすじ
───我々侍の役目はこの銀河を守り続ける事…それが…侍の『義』。
───奴を止め続ける事が私の役目、それが私の”義”です。
その間に…『パンドラの箱』を探しなさい。
かつて武神不動明王様が星々を救う方法を託し記した封印した箱です。
そして、その箱を開けられる『7つの鍵』も探すのです。
それが君の”義”。
『君』と言われた者は自分の姿に不満があるのか、今の自分の姿は侍ではないと訴えました。
しかし、問いかけに応じた主は、その姿になったのも何か意味がるのでしょうと説き伏せるのでした。
褐色の肌に白色と青黒い髪を持つその人は、刀を持ちながら静かに語ります。
「この広い宇宙のどこにも完全なものなどいない…ですが、枯れ落ちた葉より地中の奥の活力ある根を見る心眼を持つのです」
「こんな時に…いつもの分かりにくい説法ですか?」
訝し気に問い正す者に、彼は続けて言いました。
「大切なものほど目に見えるところにはないものです。まやかしによって隠れ、本質を逆に見せる。だから私は君の腹の底にある肝に命じているのです。この銀河を救うカギは、君自身が握っているのだと…さぁ行くのです」
こうして始まる物語は宇宙を駆けて──────
「願いを叶える流星と呼ばれた武神不動明王様のように──────」
唯一無二のSF侍活劇が今ここに開幕する───!!
所変わって、ここで睨み合うのは獣を形どった機械と、それを操る人でした。
一方の男は自身の操る小結級ホルダーをあっさりと破った男に対して、金剛夜叉流二代目、狛犬のホルダーをつれ流離(さすらい)の一匹狼と呼び称される侍だと見当がついたようです。
対する男は猫を被るのは嫌いだと言い、いかにも拙者が…と名乗ろうとしましたが、それをもう一方の男が制しました。
名乗る必要はないが、何用かと尋ねた男に、大師 不動様の託した鍵の一つを預かり受けに来たと答えました。
それを聞いて、タダでは返せぬと答えれば、二人はそれを承知で更に自身にホルダーを纏い、刃を交えました。
一瞬の攻防で、勝ったのは流離の一匹狼…
しかし、彼も無事ではありません。
敢えて左腕を切らせ、その隙に攻撃を加えていたのです。
肉を切らせて骨を断つ───まさに捨て身とも言える戦法で、彼が得た者は”鍵”なのでした。
敗れた男は再度男に問いましした。
本当にこの銀河を救えるのかと…そして、一匹狼の男がした捨て身の先方では身が持たないとも忠告します。
なぜなら、鍵はあと6つもあるのだから…
『武士道とは死ぬ事と見つけたり』とはよく言うが、犬死にする事は勇気ではないと、改めて諭しました。
けれど、一匹狼は『義を見てせざるは勇なきなり』と、その『義』を犬死にと言うならけっこうだと言います。
「拙者にとっては名誉だ」
その言葉を聞いた男は、よくぞ大師 不動様の試練を破られたと褒め称えました。
そして、確かめたかったのは腰に携えた刀ではなく、肝に携えた『勇』があるかなのだと告げると、自身の中から『鍵』を男に差し出したのでした。
片腕を失った一匹狼は、そこで漸く一つ目の『鍵』を手に入れました。
残りは6つ…
「さあ…次なる旅へ出発だ!いざっ!!!」
勢いあまって腕を振り上げた八丸は、その衝撃で腕の骨を折ってしまったようです。
八丸の父は、ゲームはその辺にして、点滴の時間だと八丸に声を掛けました。
八丸という名の少年は、機械だらけの部屋に、沢山の線に繋がれて生きていました。
興奮して腕を振り上げただけで骨折を繰り返すひ弱な八丸です。
また骨折したらどうする、何のゲームだと問い詰める父に、八丸はネットで拾ったやつだとだけ答えました。
盛り上がっていた気分を台無しにされた八丸は不機嫌に、ペットの早太郎に杖を持ってくるよう頼みました。
犬を模しているはずの早太郎が『ニャンニャン』と鳴くのを聞いて、八丸はまた音声システムの不具合いかと案じました。
八丸の父は、八丸が改造したペットホルダーの早太郎を見て、猫じゃなきゃなんなのだと八丸に尋ねました。
「どう見たって犬だろう!犬!!」
二人がそんなやり取りをしていると、早太郎は八丸の元へと戻ってきました。
けれど、早太郎が持ってきたのは八丸が頼んだ杖ではなく刀でした。
八丸のコレクションから毎回持ち出してきてしまうようですが、それについても父は八丸の組んだプログラムのせいだと言い、今度からはこれを使えと差し出したのは伸縮自在の杖付きの腕パーツでした。
そして、次こそ点滴だと八丸を促します。
「ハァ…武士は食わねど高楊枝っていうでしょうが!?」
そんな八丸に、父は点滴をかざし、ならば死ぬぞと息子に言います。
「『武士』ってのはもっとこう…でかくて強い奴の専売特許だ。言うならお前の真逆だ。なんで憧れる?」
そんな父の問い掛けに、八丸は自分と真逆だから憧れるのだと言いました。
けれど、先端恐怖症の八丸は、点滴を打つ針先をまともに見る事すらできず、父は呆れたように先端恐怖症の武士などいるかと言い、お前は護られる側人間だと改めて八丸を説き伏せました。
「いい加減コレにも慣れろ!親不孝者!!」
そんな風に怒鳴る父親に八丸は積もり積もった鬱憤をぶちまけるかのように、痛いのも、注射も屁理屈父ちゃんも大キライだと叫びました。
いくら嫌われようが八丸を守る為なら何とも思わないと言う父は、それが親だと言い切りました。
やけっぱちに愚痴った八丸の元には早太郎が寄って来て、オモチャのボールを庭へ投げてやると、早太郎はニャンと鳴きながらボールを追い掛けに行きました。
「オレだって…外に行けるなら…親孝行の一つもしてるっつーの。コレはずして3分もたないで死ぬ身体じゃなきゃよ…」
絶望に満ちた八丸の体から無数に伸びる太いコードは、部屋に装着された更に大きな装置へ繋がっていました。
父はそれも移動型の生命維持装置が完成したら、八丸も外へ行けるようになる、もう少しで完成なのだ…それは今までずっと八丸が父から聞かされてきた事でした。
八丸はもう何年同じことを言ってるんだ、父ちゃんの言う”少し”は何年なのだと父にきつく当たりました。
父は何も言うことなく”少し”出かけてくるとと言って家を出ていきました。
八丸の父はあのパーツが手に入れば、あのロッカーボールさえあれば完成なんだと先を急ぎます。
所変わって、拘束された一人の男は、お頭と呼ぶ男に今度こそ必ず金は用意すると言って命乞いをしていました。
お頭と呼ばれた男は馬型のホルダーに跨り、目で見えるものしか信用しないと言います。
そして、金はもういいから別の方法で信用を示せと言うと、拘束された男に短刀を差し出し切腹を迫りました。
腹に刃を向けた男は、それでも覚悟を決めきれません。
「武士から侍になりたかったんじゃないのか?」
投げかけられた問いに一瞬目の色を変えて鋭く睨みつけるものの、構えていた短剣を腹に突き刺され、腰抜けと罵られました。
「さあ!どうなる?」
男は不敵に笑みを浮かべました。
「ハァ…どうしよう?」
そう呟いていたのは八丸でした。
父に当たり散らしてしまった事を後悔していたのです。
そんな八丸の前に、早太郎が持って帰ってきたのは、八丸が投げたボールではなく、大きなダルマでした!
また違うものを拾ってきたなと八丸が嘆くのと同じ頃、先ほどの男は拘束した男を殺め、また飼い犬が減ったと嘆いては、どこかから強そうなのを連れてこなければと思慮していました。
下っ端の部下たちがその一部始終を見て生唾を飲み込んだまさにその時です、その場に現れたのは八丸の父でした。
「2億円…金は用意した。約束のモノを渡してもらおう!」
銃を構えて迫る八丸の父に、男は銃を降ろせ、これが『ロッカーボール』だと手元の丸い岩を差しました。
一方、八丸は早太郎が拾ってきたダルマを見て、いいものを拾ってきたと褒めていました。
ダルマは昔から願掛けの縁起物で、片目だけに目を描き入れて、願い事をすると叶うと言われていることにならって、八丸はダルマの片目に目を描き入れました。
そして、願うのは…
「…どうか屈強な武士…いやそれ以上の侍になれますように!…自由に宇宙を飛んだ流星の不動明王…みたいな侍に…!それから……父ちゃんが…無事に帰ってきますように…」
「父親想いな奴だ…気に入った。それに…武士と侍の違いも心得ているようだしな」
何処からともなく聞こえてくる声に八丸は驚きながら辺りをキョロキョロと見渡しました。
「お前は…なぜ侍なんぞになりたい?」
その声が聞こえてきたのは、早太郎が持ってきて、今しがた八丸が片目を描き入れたばかりのダルマから聞こえてきました。
「…よくぞ拙者のスリープモードを解除した。なにを隠そう拙者が───」
ダルマの中から出てきた喋る猫!!
八丸は新手の不法侵入だと声を荒らげ、やっつけろと言って早太郎をけしかけました。
一方、八丸の父は男から『ロッカーボール』を受け取りました。
それを手に入れて侍にでもなるつもりかと言う男に、八丸の父は特別な車イスを作るだけで、そんなものには使わないと答えます。
「それに、アンタを悪く言う気はないが…武士はお高くとまっててキライでね」
その一言を聞いた男は表情を一変させました。
そして、武士と侍をごっちゃにしてると八丸の父に詰め寄りました。
「『武士』とはただの人間だ。だが『侍』は人間ではない」
男は自身の頭部を前後に開き、その体を八丸の父に見せました。
「侍は武士の上級として武神に選ばれサイボーグの体を持つ。脊柱に似た『鍵』と呼ばれるメモリーユニットをベースにそれ以外の体のパーツは全てサイボーグだ。武神不動明王の造り残したこの小さな星…『ロッカーボール』これと融合した者だけがこの体を手にする」
男は徐に刀を抜くと、自身の左腕を斬り落としました。
その切り口は男が言う通り機械の体です。
「斬られても死ぬことはなく…ありのままの姿で宙を歩き、特別な魂を腹に宿す」
男が語る内に、斬ったばかりの腕は元通りに再生しました。
そして、男の腹の部分には男が魂と呼んだ塊がありました。
「だが、誰もかれもが侍になれるわけじゃない。適合を試み失敗すれば──────死ぬ」
奥で倒れているさっき腹を刺された男は、適合に失敗した例でした。
ここまで聞いて、八丸の父はわざわざ説明ありがとうと礼を言いつつ、自分には関係ないと言ってその場を去ろうとします。
けれど、男はアンタの方が詳しいはずだと八丸の父を見据えました。
その頃家ではダルマから現れた猫にお茶を出していました。
八丸が名前を聞くと、『ダルマ』と呼ばれていると答えます。
ダルマの描かれたマントに丸まって寝ていたのですから、それもそのはずだと言う八丸に、ダルマは今は猫型の機械に入っているが、元人間で完全な犬派だと言いました。
八丸にはダルマというより機械の体をしたまねき猫のように見えました。
訝し気に八丸が見ていると、ダルマはなにを隠そう侍だと言います。
八丸は侍のまねき猫とはさすがにキャラ付けが多すぎると訴えました。
わめく八丸をよそに、ダルマはそれより杖のようなものはあるかと尋ねます。
途端に話が飛ぶことに、八丸は何でェ!?と驚きながら聞き返しました。
「拙者、目が見えん」
薄く開いたダルマの瞳は、ガラス玉のようで、何も映していないと言います。
八丸は早太郎に命じて、杖を持ってこさせました。
しかし、早太郎が持ってきたのはまたしても杖ではなく刀でした。
刀を手にしたダルマは、ちょうどいいと言って柄を握ると、チンと小さな金音を鳴らします。
模造刀だから斬れないと言う八丸は、ダルマに侍のマネ事はやめるように言い掛けましたが、そこでダルマが飲んでいたお茶の湯飲みがパカリと真っ二つになりました。
ダルマは驚く八丸に、羊羹を食べていたつま楊枝を突き付け、大事なものは目に見える所にはない、まやかしによって隠れているものだと説きました。
「侍は心眼でものを見る…本質は逆に隠れている───拙者の様にな」
ダルマは熱くて飲めなかったお茶を、湯飲みを斬ったことで漸く冷めたようで、ペロペロと飲み始めました。
そして、八丸に本当に侍になりたいなら『死ぬ覚悟』が必要だと言います。
「お前の腹の中に”勇”があるのか?」
その言葉を聞いた八丸はダルマに向かって頭を下げました。
「オレに侍の真髄を教えて下さい!!!ダルマ師匠!!!」
懇願する八丸に、ダルマは勝手に師匠呼ばわりするなと言いました。
八丸を気に入りはしたが認めた訳ではないとも言うダルマは、八丸に刀を構えろと言いました。
しかし、刀が重くて持ち上がらない八丸は、構える事すらできず、どこから持ってきたのかリンゴを食べ始めたダルマが持っている果物ナイフを向けられただけで、八丸は余計にプルプルと震えてしまいます。
力もなく、先端恐怖症で痛いことも嫌いだと言う八丸に、ダルマは改めて侍になりたいんだよなと問いました。
八丸は自分の体のことをダルマに聞かせ、一度も外に出たことがないのだと話しました。
背中にある無数のコードが繋がる先にある巨大な生命維持装置と生まれた時から繋がれていると八丸は言います。
小さく脆く、死に掛けていた八丸のため、父が造ってくれたそれを、八丸はセンスないデカイ重りと鎖だと皮肉りました。
ダルマは八丸が父の心配をしていたことを尋ねますが、父がいた方が便利だからだと言って憎まれ口を零します。
「コレがはずれて自由になったら…もう顔も見たかねーよ!!」
「…ケンカする程仲がいい。それこそ本質は逆に隠れている」
そんな風に語るダルマに、八丸はふて腐れたようにいくら師匠でも自分と父のことは知らないだろうと吐き捨てました。
そんな八丸に、ダルマはいい侍になる可能性はあるとしながらも、八丸は侍に向いていない、止めだと突き放しました。
八丸は、自分のように見た目ガリガリのつまようじが侍になれっこないって事だろうとぼやきます。
けれど、目の見えないダルマにとってはそんな容姿の事などは問題じゃないと言いました。
ならば中身に問題があるのかと声を荒げる八丸に、ダルマはそれも違うと言い、分かり難い問答はもういいと八丸は苛立ちを露わにしました。
「オレは侍になる為ならちゃんと死ぬ覚悟だってあんだぞ!!」
八丸はそう言ってお盆にあった果物ナイフを手に取ると、震える手で自分の腹に突き付けました。
一方、八丸の父は男に首から下げている鍵を手に取られ、それは侍の魂を従事ておくための鍵、狛犬…魔噛みの鍵だろうと詰問されていました。
男は更に言葉を続け、さっき言ったように、侍は腹に”特別な魂を宿す”とし、侍にとって本当の武器とは腰の鈍(なまくら)ではなく、腹にある侍魂だと説きました。
そして、男はずっとそいつを追っていたと言います。
「名刀童子切高綱の侍魂───通称『血吸』の剣──────どこに隠した?」
「…何の…事だか…」
そう言ってしらを切ろうとする八丸の父ですが、厳しい顔つきからも焦りが伺えます。
男はくいっと顎で手下たちに指示すると、八丸の父を押さえつけました。
そして、男が右手で八丸の父の頭を掴むと、機械の腕から八丸の脳にアクセスされ、ルート確認…当たりだと男はニヤリと笑いました。
男は自分のホルダーを用意すると、それに跨りものすごいスピードで飛び立っていきました。
八丸の父が制止する声は到底聴き入られませんでした。
一方、八丸は未だナイフを腹に構えたまま震えていました。
「…侍になる為に死ぬならそれは本当の犬死だ」
侍の”勇”とは、そんなところにはないとダルマは言います。
その時、何かの気配を感じ取ったダルマは、途端に刀を手にしました。
鞘から抜くと同時に屋根から降ってきたのは八丸の父といた男です!!
男が振り下ろす刀をダルマは寸でのところで受けていました。
何が起きているのか分からず、呆然とする八丸はダルマの方を見ました。
金剛夜叉流──────猋(つむじかぜ)
襲ってきた男の周りを螺旋を描くようにくるくると回るようなダルマの斬撃は、男の左腕を斬り落としました。
男はダルマの技に見覚えがあるようです。
「いかにも拙者金剛夜叉流免許皆伝、達磨(だるま)だ。猫を被るのはキライでね。…本性を隠しておくのは出来ないタチだ」
その口上に覚えがあるのは八丸でした。
「”流離(さすらい)の一匹狼”が…なぜそんな姿でこんなところに?」
男はダルマに問いかけますが、返事はありません。
「ゲームと同じ…」
そう呟いた八丸に、あれは自分が作って銀河ネット上にばらまいたものだと答えたのはダルマでした。
侍に憧れる子供にアクセスする為だと言い、直接会ったのは八丸で八人目だとも言いました。
「どいつもこいつも無視かよ…」
苛立つ男は乗ってきたホルダーから映像を出して八丸とダルマに見せました。
そこには傷付き、捕えられた八丸の父が映っています。
男は八丸の父を人質に、妙な真似をすれば八丸の父が死ぬと脅してきました。
「卑劣な……それでも武士か!」
ダルマの言葉に男はホルダーから攻撃を放ち、ダルマの体に大きな穴を開けました。
「武士じゃねェ侍だ!浪人だがな」
侍であることに拘りを持つ男は、伝説の犬侍が、こんな辺ぴな星で猫型ロボットになり下がってこんなガキの為に犬死とはな…と再生する左腕を待ちながらぼやきました。
そして、何か思いついたようにダルマの見る目の無さをハッキリさせてやると動き出すと、そこへ早太郎が男の足元に噛みついて止めに入りました。
けれど、男は早太郎を気にも留めず、それどころか踏みつぶして破壊してしまいました!!
「早太郎!!!」
悲しみと怒りが込み上げてくる八丸は、男に向かって駆け出そうとします!
しかし、生命維持装置に繋がれたままの八丸は、縁側より外の世界に出る事は適いません。
悔し涙を零す八丸に、男は笑いながらまるで鎖につながれた子犬だと嘲笑いました。
男は八丸の父が持っていた鍵を八丸に見せ、童子切高綱の侍魂を隠した場所の鍵だと言いました。
そして、その隠し場所とは…
「お前の”中”だ」
八丸の服を破き、男は八丸の左胸にある扉に鍵を差し込みました。
暴れれば父親が死ぬと脅しながら、男は八丸のしんぞうは宝刀のエネルギーを借りて動いていると言います。
しかし、その胸の扉は鍵を差しただけでは開かず、認証コードが必要だと話しました。
「そのコードは…お前の心臓を止める事。さぁ…これで切腹しろ」
男は持ってきたロッカーボールから短刀を取り出すと、八丸に差し出しました。
切腹すれば父を助けると言う男と、ダメだと必死に止める画面越しの父の声…
「……本当だな…」
震える体と声で男に問いただした八丸に、今は浪人でも元侍を名乗る男は、節義を忘れてはいないと八丸に言いました。
「よせっ!!子がっ…子が親より先に逝くなんて事が…あってたまるかァ!!!」
八丸は男から受け取った短刀を腹に向けます。
父と過ごしてきたこれまでの思い出がいくつも溢れてくる中で、八丸を止めようと父は叫び続けました。
「これ以上の親不孝は許さんぞ!!!オレの事が大キライなんじゃなかったのか!!?こんなオレの為にっ…」
「…ンなわけ……あるかよ…」
振り絞るような八丸の声に、父も涙が溢れてきました。
「ずっと…大好きだったに決まってんだろーがよォ……父ちゃん…」
「よせェ……」
「だからよ、父ちゃんを守る為なら…こんなもん──────」
何とも思わん──────
八丸は自分の腹をぐさりと刺しその場に力無く沈むと、動かなくなった八丸の左胸の扉がパカリと開きました。
伝説の犬侍が期待していた分、万が一にも可能性があると思ったと言いながら、男は八丸から小さな玉を取り出しました。
結局いつもと同じ、侍になることはなく死んでしまった八丸に、奴も見る目なしかとダルマの見込み違いだったと呟きました。
男が手にした玉は、見る見るうちに形を変え、”血吸”と呼ばれる通り、真紅の刃を持った刀になりました。
試し切りとばかりに八丸のイスを真っ二つにした男は、時価20億はくだらない良い刀だと手にした刀に見惚れていました。
画面の向こう側で八丸の父は泣き崩れ、動かなくなった八丸、ダルマ、そして早太郎がいる向こうで、放置されたロッカーボールが突然動き出しました!!
それに同調するように、八丸の体がふわりと宙に浮かび、背中から伸びていたコードが外れると、八郎の中に脊髄に似た組織が形成されていきました。
気が付いたダルマは、見えないその目を見開き、変化を遂げる八丸の体を見守ります。
異変に気付いた男は、まさかと言いつつ八丸の方へ向き直りました。
そして、漸く気が付いた八丸は、ガシャンと音を立てて前後に分かれた頭部が直ると、どんどん自分の腕が形成されていく様子を見つめていました。
「杖なしで…しっかり立てて…背のコードがないのに…」
自分のみに起こった事が飲み込めない八丸に、ダルマは今、武神不動明王の慈悲を受け、三輪身の力を得たと聞かせます。
「つまり…お前は侍となったのだ!!」
ダルマの言葉を聞いても実感の沸かない八丸は、串刺しにされたままのダルマの事も案じますが、ダルマはこの程度では死なないといい、くわしい話は後だと八丸にすぐに早太郎に手をかざせと急かしました。
訳が分からないまま、ダルマに言われた通り男に破壊され倒れた早太郎の体に八丸は手をかざしました。
ダルマはそのまま早太郎のあるべき姿を願えと八丸に言いました。
すると、今度は早太郎が見る見るうちに形を変えていきました。
「それでいい…お前だけのホルダーだ。今度も大切にしろよ」
子犬だった早太郎は、八丸よりも大きな犬型のホルダーへの生まれ変わりました。
体は大きくなっても、鳴き声は『ニャン』と猫のように鳴く、早太郎のままです。
喜ぶ八丸に、男はホルダーに跨り刀を振りかざしてきました。
スッと伸ばした八丸の腕に、早太郎はいつものように刀を持ってきました。
「いざ!!!!」
鞘から抜いた刀を、腕一本で構えた八丸は、父を助けるため、男と対峙します!
猛スピードで向かってくる男に、早太郎は咥えたままの鞘を使って攻撃を仕掛けました。
一瞬態勢を崩した男は、ホルダーを使って自身に鎧をまとっていきます。
頑丈な鎧を身に付け、馬のようなホルダーに跨るその姿は、八丸がゲームで見たのと同じものでした。
男は、八丸の侍魂もいただくと言って、八丸を迎え撃ちます!
八丸は次々に攻撃を与えますが、男の頑丈な鎧はびくともしません。
男は、ただの刀で侍の鎧は傷付かないと今度は八丸へ向かっていきました。
すると、男の後方から矢のように鋭い攻撃が投げ込まれ、命中した男はホルダーから落ち、纏っていた鎧も解けてしまいました。
ダルマが、自分に刺さっていた矢を男に投げつけたのです!
「これで斬れる!!お前の『義』を見せてみろ!!」
ダルマの言葉に八丸はもう一度男に向き直りました。
再びホルダーに乗った男目掛けて飛び込んだ八丸は、刀を握っていた右腕を斬り落とされてしまいます。
しかし、倒れたのは男の方でした。
八丸の左腕には、父がつけてくれた杖がありました。
肉を切らせて骨を断…八丸は自分を支えるためにくれたひとつであるその杖を使って、男の侍魂を打ち砕いたのです。
男の体はどんどんロッカーボールの形へと姿を変えていきました。
ダルマは、男に目はあるが見る目がないと言い、そういう奴は決まって痛い目をみると語ります。
そして、そんな男にガリガリの折れたつまようじだと吐き捨てた頃には、もうロッカーボールは形成され、もう男の耳には届いていなかったでしょう。
八丸の斬り落とされた腕も徐々に再生して、元通りになりました。
「八丸…それが本当のお前だ。そして…これからは待つだけではない。此方から迎えに行ける。行くぞ、父親の所へ」
ダルマの言葉に早太郎もニャンと頷きます。
「いざ…初めての親孝行だ」
早太郎に乗った八丸は、無事捕えられていた父を見つけ、助け出すことに成功しました!!
ダルマは自分の師に呼び掛けるように八人目で八丸という本物の鍵が見つかったようだと思いを馳せました。
七転八倒に見えた自身の『義』が七転び八起きとなったようだと…
第2話 空からの訪問者のあらすじ
侍となった八丸は、初めて食べるタコ焼きの味に感動してしていました。
アレルギーが多く、胃も弱かった為、八丸が食事として食べれたのは、消化の良いリンゴと決まった流動食のみだったのです。
八丸の父は、初めて食べるのだからもっと咀嚼(そしゃく)しやすいものがあっただろうと言いますが、八丸にとってはそのかみごたえこそ大事なのだと言いました。
「タコ足八本、タコ焼き八個にそれを食う八丸」
末広がりで縁起がいいとダルマはお茶を片手に言いました。
もうガリガリのつまようじではなくなった八丸は、これからは何でも食べちゃうと朝から元気いっぱいです!
八丸は、背中のコードが無くなったことで寝返りがうてるようになり、昨晩はぐっすりと一度も起きずに眠れたと言います。
朝食を食べ終え、八丸がゲームの続きでもしようかと立ち上がると、早太郎は八丸の袖を引っ張って、散歩に行こうと誘ってきました。
八丸の部屋に掛けられた模造刀コレクションの棚に、自分が腰に差していた刀も置きました。
ニャンニャンと八丸に声を掛ける早太郎の言葉が分かるようで、ダルマに渡したコレクションはどうするのかと尋ねてきたようです。
八丸はダルマ師匠の杖としてそのままあげるのだと言いました。
「いよいよ大冒険へ出発だぁ!!いざ!!」
早太郎を連れて近場を散歩するだけなのですが、八丸にとっては大冒険です。
丸腰で外へ出ようとする八丸に、ダルマは刀を持たぬ侍はパンツを穿いてないのと同じだと言い、いかなる時も携えておけとダルマは杖代わりにと八丸に貰った模造刀を差し出しました。
本物の刀ではない模造刀を持ち歩くのに抵抗を見せた八丸でしたが、以前ダルマはこの模造刀で湯呑を斬って見せました。
八丸も師匠にならい、庭先に湯呑を置いて模造刀で斬ってみると、見事に真っ二つに斬れました!!
喜ぶ八丸に、ダルマは侍というのは『行動の人』なのだと説きます。
決めつけて何もしない侍はパンツを被っているのと同じだと、なぜかまたパンツを例えに出してきます。
分かり難くなってきたという八丸に、ダルマは改めて刀を鞘から抜かないことには切れ味は分からないという事だと言い直しました。
ダルマの説法が終わったところで、八丸は模造刀を腰に携え、改めて早太郎と散歩に出ることにしました。
外の世界を全く知らない八丸を心配する父は、外には物騒で変な奴も多いから、あまり遠くへ行くんじゃないぞと声を掛けて見送りました。
一方、戦車に乗り込み、下品な笑い声をあげる豚のような三人組が大切な水路を奪い、辺りに攻撃しながら荒らしていました。
そんな事を知る由もない八丸は、早太郎の背に乗って、初めて見る外の世界にたくさんの家や人がいる事…友達はできるのだろうかと思いを馳せていました。
不思議そうに八丸を見る早太郎に、確かに昨晩父を助けに行く時家の外には出たが、夜だったので暗くて当たりの景色はよく分からなかったのだと言いました。
それを聞いた早太郎は、何か思いついたように、勢いよく地面を蹴ると、そのまま変型して空高く舞い上がって行きました。上空から見る町の景色に、八丸は驚きます。
早太郎が変型して空を飛べるようになった事にも驚き、かっこよすぎたと褒められた早太郎は益々高い所へ飛んでいきますが、八丸は怖がりながらそっと目を開けると、その景色を改めて見て、早太郎にありがとうと言いました。
「ヤッベェーーー~~~~!!!ワクワクしかしねェーよ!!!!」
その時です!
期待に胸を膨らませた八丸を突然の砲撃が襲いました!!
早太郎から離れた八丸は、腰の刀も落とし、自分自身も落下していきました。
場面は変わり、町の侍道場では、武士隊への入隊を目指す若者たちが稽古に励んでいました。
そしてここは『夜叉流忠道場寮』──────
ゲームなんかしてないで今日こそ訓練に出ろ!という勇ましい声と、どうせ無視されるのがオチなんだからというおっとりした女性口調の声が互いに言い合っていました。
話題の主はゲームに夢中な長髪のひきこもり少年です。
言い合いをする2人にゲームに集中できないと苦言を呈しますが、彼の両親どころか、部屋にはゲームをする彼以外見当たりません。
「…ランキング1位の人…今日は出てこないなぁ…」
ゲームの操作の為、カチカチと手元を動かす間も、見当たらない勇ましい男性と、おっとりした女性の会話は続きました。
そして、その正体が少年の右手くんと左手さんであることが判明しました。
名無しだというこのひきこもり少年の一人芝居でした…
そこへ悲鳴と共に空から降ってきた八丸は、痛みこそあれど無事でした。
辺りを見渡して早太郎とはぐれてしまい、刀も落とした事に気付きました。
「人だぁぁァァ!!」
今度は八丸を見て少年が悲鳴を上げました。
少年の存在に気付いた八丸も、怪我をしていないかと気遣いました。
天上に開けた穴も申し訳ないと謝り、ちゃんと直すと話し出すと、なんと少年は八丸に自分の姿が見えていると驚きの声をあげました!
少年が言うには、自分の姿は人に見えない透明人間だと言うのです。
女の子からは特に…と話している最中も、右手くんと左手さんが登場して、八丸には何が起こっているのかサッパリ分かりません。
初めて外の世界に触れた八丸は、いきなり空から落ちて、そこで出会った人がすごく変な人…出掛けに父が言っていたことは間違いじゃなかったと確信しました。
八丸は、少年に天井の事は少し待って欲しいと申し出ました。
はぐれてしまった早太郎を捜しに行かなければならないと少年に説明し、ここがどの辺りなのかを尋ねました。
それを聞いた少年も、八丸が道場の門下生でなかったことを初めて知って驚きます。
少年がいるのは城下町の七番地区…赤木城の武士隊を育成するための夜叉流忠道場の武士寮だと八丸に伝えました。
八丸は、ここが侍道場で、目の前にいる少年がそこの門下生であること、そして、ゆくゆくは侍を目指している事を聞いてテンションが上がりました。
「実はオレ侍なんだ!!!」
意気揚々と語る八丸に、名前を尋ねられた少年はまた黙り込んでしまいます。
そして、これ以上自分の口から話すのは無理だと言って、右手くんに委ねました。
少年は確かに侍になりたいと思っているが、本当は無理だと分かっていると右手くんは言いました。
その証拠に訓練どころか刀を鞘から一度も抜いたことがないと聞いて、八丸はやる気がないのかと落胆します。
そこに割って入ってきたのは左手さんでした。
少年が物心つく前にこの場に連れてこられ、昔の事はよく知らにという事…少年は自分の名前もない為、みんなからは『名無し』と呼ばれていると打ち明けました。
そして、自分の性別さえも決めあぐねいていると話す左手さんに、八丸は生えてりゃ男で無きゃ女で違うのかと尋ねましたが、男名か女名か、どちらを名乗りたいかも分からないのだと言います。
八丸は、右手と左手以外に話し相手はいないのかと聞いてみると、もう長く引きこもっていると言う少年に話し相手はいないと答えました。
欲しいモノや食事はホルダーの無人宅配で済ませ、人に会ったのも八丸が8年振りだと言いました。
部屋にこもって少年がやっている事はゲームです。
侍の対戦ゲームと聞いて、八丸は一戦やらないかと対戦を申し出ました。
けれど、この星のランキング2位の実力を持つ自分とやっても、勝てないから楽しくないと思うと言います。
少年は孤独だからこそ自分は強いと言い、みんなから見えない、名前もない自分はゲームの中以外いないのと同じで、だから外には何もいい事なんてないと頑なに外の世界を拒絶しました。
八丸はそんな少年の様子を見て、本当は外に出たいんじゃないかと聞きました。
自分よりも自分の事を知っているようだと言う少年に、八丸は自分の事を話そうとしました。
「いいかい!!気ままに外に出れて!あこがれの侍で!カンタンに友達なんて言葉使う奴が──────ボクの事なんて分かるわけないだろ!!!」
怒気の滲んだ少年は八丸にさっさと出ていくように言いました。
八丸はそんな少年に賭けを申し出ました。
対戦ゲームで少年が勝ったら大人しく出て行くが、もし八丸が勝ったら、一緒に外に出て早太郎の散歩に付き合ってもらうというものです。
やる意味ないと乗り気じゃない少年に、刀を鞘から抜かないことには斬れ味は分からないと、ダルマに教えてもらった言葉を早速使って少年を説き伏せました。
「いざ!勝負!!」
先に仕掛けたのは少年の方でした。
けれど、そこから八丸は技を繰り出し、見事勝利!!
少年は、八丸がランキング1位の『hachimaru』だと気付きました。
ずっと自分と似た存在なんじゃないかと、少年は見ず知らずのランキング1位に親近感を抱いていたそうです。
けれど、実際に目の前にいる八丸は思っていた人物像から違い過ぎていたと、少年は落胆しました。
しかし、八丸も昨日までは立派なひきこもりです。
八丸は自分に起こっていた事情を少年に説明しましたが、出たくても出れない状態だった八丸と自分はやはり違うと後ろ向きです。
八丸は初めて見た外の世界で、いきなり何かにぶつかって、空から落ちて、愛犬ともはぐれると踏んだり蹴ったりでイヤな事もあったけど、いい事もあったと話しました。
「お前に会えた」
ゲームを通じてずっと会ってみたかった奴にいきなり会えたと言いました。
八丸にとって初めての同年代の友達ができた事は、ずっとほしかったものの1つがいきなり叶ったと、本当に喜ばしい事だったのです。
この調子なら、明日明後日もワクワクしかしないと笑う八丸は少年にありがとなと言いました。
「……何でボクなんかに礼を言うんです…?」
「いや…そう思わせてくれたのがお前だから」
当たり前のように言う八丸の言葉は、少年にとってかけがえのないものでした。
自然と少年の目からは涙が零れました。
そして恐る恐る外に出た少年は、陽の光を浴びました。
八丸も外に出ると、聞き覚えのあるニャンという鳴き声と共に、早太郎がやってきました。
八丸たちはまだ知りません。
この時、戦車に乗って散々暴れまくっていた三人組の盗賊が少年がいる道場破りに来ようとしている事を…
狙われているのは高値で取引される不思議な侍の玉…侍魂を狙っています!!
第3話 戦車入刀
盗賊団が戦車ででメチャクチャに破壊した後は悲惨な状態になっていました。
通報を受けて到着した赤木城の武士隊は、駆け付けてきましたが時すでに遅し…気が立った町人が、斧を振り上げて盗賊団と間違えたのか武士隊に襲い掛かってきました。
思わず刀を落とした隊員の一人から町人は刀を奪い、抜こうとしましたが、いくら力を込めても抜くことができません。
刀には生体認証のIDが付いており、安全装置が掛けられているのです。
IDを持つ持ち主本人以外は抜刀する事はできません。
そこで漸く平静を取り戻した町人は、武士隊に盗賊の戦車がやってきた事を話しました。
「戦車?どんなだ?」
聞かれて慎重に思い出したそのフォルムは…
「……そう…まるで──────でかいケーキみてーな戦車だ!!」
戦車は今も爆走中!
道場へ向けて進んでいました。
その頃、外に出た少年と八丸は、話す時に少年の呼び名がないのは不便でもあり、八丸はとっさに『ナナシ』という名前を付けました。
そして、ナナシにペットホルダーの早太郎を紹介している時でした、早太郎を見た少年たちが寄ってきました。
本物の『キーホルダー』だと言って少年たちは興奮気味に早太郎を見ると、自分たちと同じくらいの歳で本物の鍵侍になった八丸にも尊敬と憧れから、どんどん話し掛けてくれました。
ナナシはその輪の中に入って行く勇気もなく、あっと言う間に友達を作る八丸を見て、やっぱり自分とは違うとその場を離れていきました。
ナナシが向かったのは不動明王像の前です。
ナナシの代わりに話し出した右手くんと左手さんというナナシの独り言は、ナナシが自分では口に出せないと思っている本音でした。
八丸みたいな侍になりたいと思う気持ち、せっかく友達になれたのに、すぐに他の人に取られてしまったように感じている嫉妬心、ナナシも八丸のことが気になっているのです。
少年たちと話し込んでいた八丸も、ナナシの姿がないことに気付きました。
ナナシがどこに行ったかと八丸は少年たちに尋ねますが、2人とも知らないと言い、そもそも誰かいたのかも記憶がないようです。
そんな風に話していた八丸たちの元に突然ドーンという轟音が響き渡りました!
噴煙の中から出てきたのは…
「何だ!?このでかいケーキ!?」
「違う!戦車だろどー見ても!!」
八丸の盛大なボケに、少年はツッコミますが戦車が迫ってくる中で、そんな場合ではありません!
戦車から聞こえてくる盗賊団の声は、鼻息も荒く、高値で取引されてる侍の珍しい玉があるはずだとそれが何かも知らないまま、盗賊団は誰でもいいから持って来いと道場破りにやってきました!!
戦車からの砲撃の音に気付いたナナシは、八丸のいる方からだと分かって慌てて駆け出しました。
突然の道場破り!
けれど、手練れの先生たちはみんな通報のあった下の水路に向かっていて出払っています。
慌てふためく門下生たちは、誰も盗賊団の要求を聞く余裕などありません。
無視され続けた盗賊団は、更に戦車からの攻撃を続けてきました!
八丸は対抗しようと刀を抜こうとしましたが、なぜか抜刀できません!!
よく見るとそれは八丸の刀ではなく、ナナシの部屋に落ちた時に近くにあったナナシの刀を自分の刀と間違えて持って来てしまったのです。
砲撃の続く中で、八丸達を守ってくれたのは早太郎でした。
早太郎は撃ち落された時と同じ火薬の匂いがすると八丸に伝え、八丸が撃ち落された原因が目の前にいる盗賊団だと分かりました。
無力な少年門下生たちを襲う盗賊団が恐れているのはオオカミ侍と呼ばれる侍ですが、下の水路へ向かっていると踏んだ盗賊団の兄貴分は、そんなはずはないと言って、ありったけの弾丸を打ち込めと指示しました。
八丸の元へ駆け付けたナナシが見たのは、自分の刀を腰に差した八丸が、認証IDの為に刀を振るえずにいる姿でした。
ナナシの刀を間違えて持って来てしまったと分かっても、八丸には認証IDのことは分かりません。
防ぎきれず当たってしまった砲撃で、八丸の左腕がナナシの目の前に飛んできました。
それを見て、再び右手くんと左手さんの言い合いが始まります。
「助けに行けるのはアナタしかいないのに!」
その間も、少年門下生たちは果敢に戦車に挑んでいきました。
けれど、固い装甲の戦車は簡単には傷付きません。
苦戦する門下生たちを嘲笑うように、盗賊団は更に攻撃を続けました。
ナナシの迷い…右手も左手も、ナナシ自身の決断を迫ってきます。
八丸を思うナナシは、刀を鞘から抜かない事には斬れ味は分からないと言う八丸の言葉が脳裏を過りました。
「とどめだ!!!侍!!!」
再び八丸を襲う砲弾に、迎え撃とうと再度抜刀を試みましたが、やはり抜けず…諦めかけた時、スッと鞘から刀が抜ける感覚がありました!!
そのまま八丸は大砲の弾を斬ることができました!
驚いた八丸が見たのは、一緒に刀の柄を握るナナシです!!
「今…自分にビックリしてる!このままボクの手を引っ張って八丸!君となら…」
今までの雰囲気とは全く異なるナナシの顔つきに、八丸も何かを悟ったようにああと短く答え、早太郎に声を掛けました。
盗賊団も大砲の弾を斬られた事に動揺が見られます!
そこへ、早太郎に乗った八丸とナナシが盗賊団の戦車目掛けて突っ込んできました!!
八丸とナナシはしっかり握った刀で、強固な丈夫さを誇る盗賊団の戦車を見事に真っ二つに両断しました!!
巨大なケーキのような戦車に、まさにケーキ入刀した瞬間の様でした。
「お前の被ってる兜は、パンツ以下だな」
八丸は兜を割った盗賊団の兄貴分に吐き捨てるように言いました。
めでたく盗賊団を退治した八丸とナナシは、他の門下生たちと喜びを分かち合いました!!
そして、騒動がおさまった後、早太郎がちゃんと八丸の刀を見つけてきてくれました。
ナナシは、八丸に友達と言って貰えたことを嬉しかったと素直にありがとうと伝えました。
けれど、ナナシと友達なんて嫌だと言いました。
落ち込みながらも、八丸はイヤなら別の奴を友達に…と言い掛けるのですが、ナナシは慌ててそうじゃなくてと訂正しました。
モジモジしながらナナシは八丸と戦車ではなくケーキ入刀が夢だと語るナナシに、八丸は余計師匠のパンツの例えより訳が分からないと言いました。
その言葉にズーンと落ち込むナナシでしたが、今すぐは無理でも、本物の侍となって迷いのない元服名を持ったら、その時はまた自分の言った事の説明をしに行くとナナシは言いました。
八丸は宇宙へ出ると宣言しています。
そう簡単にはこの星に帰って来ないから、いつ会えるかは分からないと八丸は言いますが、それでもナナシは今度は自分から八丸に会いに行くのだと言いました。
ずっと引きこもっていたナナシが、宇宙に出た八丸の後を追って、この星の外へ出ると言ったのです!
八丸もナナシも全く知らない未知の世界が宇宙には広がっています。
ヘタしたら今度こそお互い死ぬかもしれないと言う八丸に、ナナシは笑顔を見せてそれでもいいと言いました。
「何もしないよりは自分がここに居る気がするから」
ナナシの笑顔を見て、八丸も納得したように、早太郎に乗って帰って行きました。
大変な散歩になってしまった八丸でしたが、初めての友達ナナシとの出会いもあり、充実した散歩になりました。
そこ頃八丸の家では、八丸が居ないうちにとダルマが八丸の父に話を持ち出して今した。
「…これは…ただの刀ではない!鍵となった侍だけが持つ『心の刀』侍魂だ」
目の不自由なダルマは、その実物を見る事はできません。
それでも、ダルマは触れただけでその辺のものとは別格と分かると八丸の父に言いました。
「これ程のものを八丸の中に隠し入れていたお主はただのチンケな盗っ人ではない事も分かる」
八丸の父を問い詰めたダルマが、手元の侍魂を使って八丸の父へ刃を突き付けましたが、八丸の父は動じる様子がありません。
「フッ…臆さぬか…一体何者だ?それと…あれほどの引力を感じた子はいない…あの子は…八丸は一体何なんだ?」
ダルマほどの侍であっても、見切ることのできない八丸の存在に謎が深まります。
八丸が色々あって長くなった散歩から帰るまでのあとわずかな時間に、ダルマは八丸の父を更に詰問しました。
サムライ8【第4話】親子ゲンカのネタバレ
生まれ変わった八丸の身に起きる事、見えるもの全てが新鮮でした!
初めての友達を得た大冒険の外の世界”ほとんど一日目”から父と師匠の待つ家に八丸は愛犬早太郎に跨り、まだ宇宙までは飛べないと言う早太郎と笑いながら家路を目指していました。
八丸の自宅では、ダルマと八丸の父との問答が続いています。
「アンタが持ってたか……見つからん訳だ」
ダルマは尚も八丸の父に刃を突き付けたまま微動だにしません。
「ソレの重さが分かるアンタこそただの侍じゃない。ソレに見合う言い柄骨も持っている」
そんな風に話す八丸の父に、ダルマは質問に答えろと再度問い詰めました。
「節義をふまえた侍なら、先に名乗ったらどうだ?」
八丸の父に促されたダルマは自身の頭部を前後に割り開き、名乗りを上げました。
「金剛夜叉流免許皆伝名は達磨。それが拙者の本性だ」
「そのカギに付いた免許の印籠…それ…本物か…!?」
八丸の父もまた、ダルマの示した証がどれ程のものかを理解していました。
ダルマが”夜叉流の一匹狼”と呼ばれる侍で、魔噛みをホルダーに据えた千人斬りの伝説の侍──────達磨であると。
「そのナリで……?」
その反応にダルマは慣れていると答えました。
ダルマが名のある侍と分かった八丸の父は、どうしてそんな恰好でこんな星に居るのかと尋ねると、ダルマは猫を被り嘘をつくのは苦手でなと言い、正直にその訳を話しだしました。
「何もしなければここら一帯の星々は近々消滅する」
ダルマから聞かされた話は衝撃的なものでした。
そして、ダルマが言うその最悪の事態を止めるための方法が、ある箱に7つの鍵で封印されている、その箱を開ける”侍の鍵”となる特別な侍を銀河を駆け回りながら捜しているのだと言いました。
しかし、ダルマが50年かけて探し回ったが、何一つ見つからなかったと…けれど、やっと……
そこまで聞いた八丸の父は全てを悟ります。
「その鍵の一つが八丸という訳か…」
「そうだ」
短く答えたダルマに、八丸の父は断固反対しました。
ここまでの話をしても動じない様子から、ダルマは八丸の父も何かを知っていると睨みますが、八丸の父は何も話す気はないと拒絶します。
そして、ダルマに八丸を預ける気もないと、八丸は守られる側の人間だと言いました。
ダルマは、八丸の強い引力は、不動明王の御導きだと言います。
八丸が侍となったはこの銀河を救う為だと…
「もっと信頼してやったらどうだ?あの子を縛る鎖はもう必要ないはずだ」
ダルマは八丸の父にそう問いかけました。
お前に何が分かると父が答えている時に、ただいまーと元気な声で八丸は戻ってきました。
八丸が帰ってきた以上、話は終わりだと小声でダルマに耳打ちした八丸の父は、遅いぞと帰って早々八丸を叱りつけました。
けれど、八丸は気にも留めません。
早太郎が飛行機変型するのだから、遠くまで行きたくなるってもんだと、近所を散歩する約束を破った事を打ち明けてしまいます。
「変な友達ができました!!」
約束を破ってまで遠出した先での出会いを嬉しそうに語る八丸に、父もダルマも黙って耳を傾けました。
けれど、八丸は詳細を話すより先に、今度は…今から散歩ではなく逆方向に出掛けてもいいかと父に尋ねました。
ずっと制限された世界と生活の名で暮らしてきた八丸は、侍として生まれ変わることで漸くそのしがらみから解放されました。
色んなものへの好奇心が高まる一方の現状に、父はダメだと、必要以上に八丸へ外の世界へ行くことを止めようとしました。
外には危険がいっぱいだと引き止める父と、外に出て、その危険から救ったのは自分だと言い張る八丸の親子喧嘩がまた始まってしまいました。
睨意味合いを続ける中、八丸は移動型の生命維持装置を造ると言っていたい父に、最初からそんなものを作る気はなかったのだろうと突き付けました。
現に、機械の体を持つ父は何も縛られていなかったと八丸は言います。
「もし、自由に空を飛べるなら死んだっていいって思ったことあるか?」
父は何も答えられませんでした。
とにかく、外へ出る時は近場を散歩するだけ、そしてダルマには早々に立ち去るように八丸の父は言うだけでした。
師匠からも何か言ってやってくれと八丸がせがむ時には、ダルマはすっかり眠りこけていました。
自室に戻った八丸の父は、若い頃、飛行機に乗る自分の写真を眺めていました。
その写真を見た幼い頃の八丸は、羨ましそうに眺めていて、お前も乗ってみたいかと父が尋ねると、聡い八丸はあれこれと言い訳を付けてそれを否定しました。
本当は乗ってみたくても、自分の自由にならない体では無理だと諦めていたのです。
そんな八丸の姿を見て、移動型の生命維持装置の開発に勤しんでいた八丸の父の脳裏には、
「いつか殺す。つかまえてやる」
恐ろしい形相の相手が悪夢となって襲ってくるのでした。
八丸にしてやれる事…何ができるのかと、父は悩んでいました。
ダルマの描かれたマントに包まったまま眠り続けるダルマは、外から見ると本当に大きなダルマにしか見えません。
眠る師匠を抱えたまま、言い過ぎてしまったと八丸は父との先程の喧嘩を悔やんでいました。
急変した環境とは言え、親が子を心配する気持ちを分からない八丸ではありません。
でも、八丸には侍となって自由な体を得た今、やりたい事、やってみたい事が沢山あるのも事実です。
「侍は何事も自分で決められる者だ」
寝ていたと思ったダルマは、いつの間にか目を覚ましていたようで、縁側からぴょんと庭先に跳ぶと、八丸に好きな数字は何かと尋ねました。
ダルマの言っている意図が分からず戸惑う八丸でしたが、選んだ数字は名前にも入っている『8』でした。
それを聞いたダルマはブンッと抜刀し、カチンと鞘に収めてから1から8まで順に数えていきました。
そして、ダルマが『8』と数えた瞬間、縁側から庭の境目に、刀傷が現れました。
ダルマは刀を振るってから8秒後ぴったりの時間差で斬ってみせたのです。
驚く八丸は、どうやってやったのかを尋ねました。
「金剛夜叉流黙切り…抜刀斬りから斬れるまでの時間を己で決めて斬る技だ」
今みせた技を説明したダルマは、再度八丸に侍とは自分で決められる者だと繰り返し、その上で自分はもうじきここを去ると宣言しました。
「その地面にある刀傷よりこちら側に来れば、金剛夜叉流の武式一式をたたき込んでやる。だが…そこにいるままなら父と共におだやかに暮らせ」
ダルマの言葉に八丸は一瞬思案しました。
「もうとっくに”オレの師匠”ってキャラ付けは追加されてるんだろ!?ダルマ師匠!」
早太郎を伴って師匠の元へ進む八丸に、もう迷いはありませんでした。
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